□ ドライブ電圧と極性
  • 低電圧アクチュエーター:
    (-)30V 〜 (+)150V
  • 高電圧アクチュエーター:
    (-)100V 〜 (+)500V
    (-)200V 〜 (+)1000V
  • (+):順方向極性
    (-):逆方向極性

 一般的によく知られているバイモルフ圧電素子、超音波発生器、あるいはピエゾ変圧器等 ピエゾ製品の一部は、しばしばバイポーラ電圧(±極性電圧)で駆動されます。この駆動方法はピエゾアクチュエーターにも応用され、通常のユニポーラ駆動より大きなストロークが得られます。さらにバイポーラ駆動の長所は、動的(ダイナミック)動作モードにおいて電界の偏りが少なくなるため、スタックにかかる電界ストレスが緩和され、信頼性・寿命の向上が期待されます。
 ピエゾスタックには一般的に極性があり、アクチュエーターにかける事が出来る最大順方向電圧が定義されています。逆極性の電圧は、最大順方向電圧の約20%までかけることが出来ます。標準的なユニポーラ駆動素子に比較すると、ストローク、押し荷重、発生力共に30%の改善が見られます。特別な PZTアクチュエーターで逆極性電圧の高い材料があり、アプリケーションによってはドライバー回路を簡素化することが出来ます。
 アクチュエーターの消極を避けるために高温、おおむねカタログで規定された最高温度の70%以上の温度で使う場合は、高い逆電圧をかけることは避けてください。
 ケース無しのアクチュエーターでは、リード線の色で極性を表します。   赤:(+)   黒:(-)ケーシングされたアクチュエーターでは、リード線には同軸ケーブルが使用されていて、外側のシールド線はケースに接続されています。ピエゾメカニック社のアクチュエーターは芯線が(+)極です。エンドフェイスは絶縁されています。従って設計にあたって、電気的な考慮は必要ありません。
□ ストローク

 データーシートでは、A/B 二つのストローク値が表示されています。ストロークは、室温において最大荷重の10%以下の軽い静止負荷で測定されます。アクチュエーターのストロークは、負荷の変動、温度上昇により増減します。
  • A:バイポーラ動作によるストローク (-)0.2Umax〜(+)Umax 例:(-)30V〜(+)150V
  • B:ユニポーラ動作によるストローク 0V〜(+)Umax


□ ヒステリシスと精密位置決め

 ピエゾアクチュエーターのストローク/電圧の関係には、ヒステリシスがあります。つまり印加電圧の上昇時と下降時ではストロークが異なります。この現象はPZTシステムの固体物理学の結果であり、これらはすべてのセラミック素材で見受けられます。典型的な高ストレインアクチュエーターの材料には 10-15% のヒステリシスを示します。ヒステリシスは(最大経路差)/(最大ストローク)の比として定義されます。

 駆動電圧が最大動作電圧のおよそ 10%よりも小さな”低電圧レベル”になると、ヒステリシスは減少します。この現象を”低電圧の振る舞い”と言います。

 ピエゾによる超精密位置決めの秘訣は、現在の位置情報を位置センサーで精密に取得する事です。その位置情報と、目標位置情報を限りなく比較し、誤差が検出される限りアクチュエーターの入信号を制御し、最終目標を達成する事です。ピエゾアクチュエーターには分解能の制約はありません。ピエゾアクチュエーターは、どんな無限に小さい入力信号変化でも、無限に小さい動きに変えることが出来ます。

 位置検出は、光学的に(精密格子測定スケール、干渉計)または電気的(ストレインゲージ、渦電流探知器、容量センサ)等があります。また、その他の方法も使う事が出来ます。走査顕微鏡のトンネル効果電流テクニックを応用したサブ分子レベルの位置センサーも考えられます。

□ 予備負荷と最大負荷
 常時スタックにかける圧縮力を予備負荷(prestress)と呼びます。一般的なアプリケーションには、スプリングにより予備負荷をかけたスタックアクチュエーターをお勧めします。予備負荷のかかったアクチュエーターの特徴は:
  1. スタックピエゾ素子の弱点である、引張応力の補償による破壊の防止。
  2. 剛性(Stiffness)の改善。
  3. 曲げ衝撃、軸方向以外力の衝撃に対するアクチュエーターの耐久性能の向上。

 単に機械的な予備負荷(予備負荷)を与える事で、容易にピエゾアクチュエータは高いダイナミックな動作(高周波振動、パルス動作)で使用出来るようになります。

 エゾメカニック社の予備負荷付き標準アクチュエーター PSt...VS は最大定格荷重のおよそ 10-20% の予備負荷をかけています。したがって、アクチュエーターはこのレベルまでの張力を扱うことが出来ます。ピエゾアクチュエータのフロントプレートは、ピエゾスタックからの張力は伝わらない構造になっているため、静的オーバーストレスはに対しては、セラミックスタックに何らのダメッジも及ぼしません。
概算の計算式は:  
FR = m 冤 / 冲2 m 負荷
  冤 ストローク
  冲 最小リセット時間

 さらに大きな予備負荷カかを必とするアプリケーションもあります。例えば重たい負荷をアクチェーターの先端に固定し、ダイナミックな制御をする時です。ここで予備負荷は、アクシュエーターが縮むサイクル(リセット時間)以内に重い負荷を十分迅速に加速し、元の位置まで戻すに必要なレベルでなくてはなりません。

 基本的に予備負荷は、カタログに記載された最大負荷まで加えることが出来ます。1つの簡単な基準は、アクチュエーターから対称的な力(押す力/引く力)を得るために 50% の予備負荷を使用するこです。さらにその上、予備負荷は外部より加える事が出来ます。多くの場合、全体のメカニズムがアクーチュエータに対する予備負荷として役に立ちまた、振動力による機械的なバックラッシュは排除されます。

 ピエゾアクチュエーターはセラミックで出来ていて、その素材は非常に大きな力 106N/m2 程度の力に耐ることが出来ます。しかしながらこの力の 20% 〜 30% の力を超えるとセラミックは消極しピエゾアクチュエーターとしての機能は失われてしましますので注意が必要です。

 さらにゆがみに対しては、ピエゾの横方向の力が加わることになります。長さ/直径の比が高いスタックを使用することで安定した力配分が期待できます。

 最大負荷は主に、ピエゾアクチュエーターのアクティブな断面に依存します。特にケーシングしていないピエゾセラミックを大き負荷で使う場合、負荷の偏りがなく、ピエゾ断面に均等に負荷がかかるように設計して下さい。

□ 発生力
発生力(Force Generation)とは、アクチュエーターが伸張すことで負荷を押す力のことで、負荷との関係によって異なります。ピエゾアクチュエーターに電圧をかけた場合、アクチュエーターは伸びようとしますが、負荷がこの伸びを妨げる方向に働いた場合、発生力と負荷とのバランスの取れた位置でアクチュエーターは止まります。したがってアクチュエーターの力の発生は、ストロークの犠牲によって成り立ちます。最大発生力はストロークがゼロの時(阻止力>発生力)に達成されます。
□ 阻止力(Blocking Force)
アクチェータが、理論的に無限に堅い壁で固定され、その動きを妨げられると、印加電圧による活性は総て力の発生に変換さます。この力がいわゆる"ブロッキングフォースと呼ばれ、おおざっぱには印加電圧に比例します。

 アクチュエーターの動作点、ストロークと力のバランスした点は、スティフネス線 S(E)(N/μm) とアクチュエーターの特性 lmax-FB との交点から得られます。下記図で "* A" で示した点です。最大のストローク lmax と、アクチュエーターのブロッキングフォース FB はデータシートに記載してあります。

発生力とストローク - 印加電圧Umax 、Umax/2 との関係

次に基本的な 3 つのケースについて、発生力 - ストロークとダイヤグラムの使用法を示します。

1. 例: S(E)=0 アクチュエータの硬度に比較し、負荷の硬度が無視できる場合。
これは、前ページで述べたケースの、フォース変動がゼロの場合に当てはまります。そして、アクチュエータは最大のストロークを示します。適切に設計されたアクチュエーターの予備圧力システムは、この状況でも動作します。このケースに関する別の例は、マスピースによる荷重です。

2. 例: S(E)=∞ 限りなく硬い負荷でクランピングされたアクチュエータの場合
    ブロッキング状態にある場合で、アクチェータはストロークを発生出来ず、押荷重のみ発生することが出来ます。

 実際にはブロッキングは、材料の限られた硬度による受動的クランピンングのため起きません。

したがってここで述べられる最大の力は、実際のシステムで発生することはありません。データシートに記載されたブロッキング力から、発生力 - ストローク ダイヤグラム(図8)を作成することが出来ます。

3. 例: S(E)=S(A)
    これは、アクチュエータから負荷である装置に、物理的な最大限の仕事が伝達出来る、非常にマッチしたアクチュエータシステムのケースです。得られるストロークは最大のストロークlmax の半分であり、発生力はブロッキングフォースFB の半分です。
データシートで与えられているブロッキングフォースFB は、2つのポイントA、アクチュエーターの評価のためのテストリグでの 2の異なったスティフネスS(E)における最大電圧、から推定されます。(図8参照) 静的な予備圧力は、最大定格荷重のおよそ25%です。 公差は +/-20%。

□ 共振
 カタログ上での共振周波数は、ピエゾアクチュエータの一端を固定し、もう一端はフリーで無負荷状態での基本的な軸方向の共振周波数を示します。共振周波数で駆動する場合は、数ボルトの信号(小信号励振)での印加で行って下さい。両端とも自由に保持されたスタックの共振周波数は2倍になります。

 実際には、無負荷でのアクチュエーターの共振周波数は重要ではありません。ピエゾアクチュエータをシステムに組み込んだ場合、どんな付属物でもピエゾアクチュエータにとって負荷となり共振周波数を下げることになります。ステージ・ミラーマウント等、及びこれら機械光学部品に組み込まれたリセットスプリングは、100Hz オーダーでの共振周波数を示します。

 さらにより大きい直径のスタック・リングに関しては、径方向(軸方向に直角に方向)の共振モードにも注意を払わなければなりません。スタックの軸方向の寸法に比べ直径が著しく大きい場合、径方向の共振周波数は軸方向よりも低い場合があります。径方向共振はアクチュエーターの圧電効果により、入力信号に匹敵する大きさの起電力を発生し、オリジナルの入力信号に重ね合わさります。そして径方向共振は軸の動きに影響を及ぼします。実装されたアクチュエーターの基本的な軸方向の共振周波数は次式で予測することが出来ます。

Fres 共振周波数
m 負荷重量
S アクチュエーター硬度
 無負荷のアクチュエーターに比較し、負荷を接続したアクチュエーターの共振周波数は低くなります。小信号励振での応用で、しばしばピエゾスタックの共振現象を利用し大きなストロークを得る方法があります。ゲイン要素は10倍のオーダーが得られますが、共振動作をさせるアクチュエーターシステムでは、セラミックスタックに機械的なオーバーストレスがかからないよう最善の注意が必要です。つまりこのことはスタックの伸張で最大ストローク定格を超えてはいけません。
□ 共振周波数の測り方(参考)
 以下の簡単な方法によって、実機に組み込まれたピエゾアクチュエータを共振周波数で駆動した時のアクチュエータの振る舞いを評価することが出来ます。
  1. システム上のピエゾアクチュエーターにファンクションジェネレーターからの出力、数 V の振幅信号をかける。この入力信号は常にオシロスコープでモニターして下さい。ファンクションジェネレーターからの出力がシステムの共振周波数に一致するとオシロスコープでモニターしている供給信号が歪ます。
  2. ピエゾアクチュエーターは可逆動作をするためセンサーとしても働き、接続されたオシロスコープ上にその起電力が観測されます。システムのメカニズムにわずかな振動を与えると、システムのリンギング現象をモニターすることができます。
□ 静電容量

 アクチュエーターの静電容量の公称値は、アクチュエーターに小信号励振電流(周波数 kHz・ 振幅 〜1.2V)を印加し流れる電流を観測することで測定することが出来ます。通常実験では室温無負荷の条件で行われます。データシート上での公差は +/-20% です。しかしながらこの静電容量は一定ではなく、使用条件によるピエゾセラミックの誘電率の変動により変動します。一般的に静電容量は次の理由で増加します。

  • 駆動電圧信号振幅の増加 (大信号応答)
  • 温度の上昇
  • 圧縮負荷力の増加

 これらの効果は個々のセラミックによります。またその傾向は、PZT セラミックのキュリー温度が低ほどより敏感になります。ピエゾメカニック社の製品で比較的安定した材料は HS シルーズです。

□ ピエゾアクチュエーターを電気負荷としてどう取り扱うか
 一般的に良く知られている事ですが、ピエゾアクチェーターは駆動電源から見るとコンデンサーのような物で、電気を蓄積する負荷です。発生する力の大きさは入力信号の振幅に比例します。共振現象が発生した時ピエゾアクチュエーターは、ただ簡なるコンデンサーではなく、電気的には LCR 振動回路と同等な振る舞いをします。

 通常アクチュエーターの静電容量の値は、前述の通りダイナミック動作時の駆動電流から算出します。しかしこの場合、電流と消費電力は、振幅と周波数に比例して増えます。基本的な関係は:

i = C dV/dt 静電容量:C 電圧変動:dV/dt 電流変化:i
P = 1/2 CV2 エネルギー:P 静電容量:C チャージ電圧:V

 アクチュエーターが繰り返し周波数 f で駆動されているとき、入力電力は Wf になります。この電力の一部 およそ 5%〜10% がピエゾアクチュエータ内部で熱に変わります。高速なダイナミック運転による過熱の回避スタックの放熱によってのみ解決できます。

 一旦アクチュエーターに蓄えられた電力はアクチュエーターの収縮周期、つまり放電周期では電源に戻ることになり、電源回路がこの戻ってきた電力を吸収する必要があります。これがピエゾアクチュエータの特性で、ダイナミック運転の場合アクチュエータの自己発熱・駆動電源の電力吸収について考慮が必要です。

 あいにく、ダイナミックなアプリケーションで使われるアクチェーターの選択は、カタログに記載されている静電容量値のみで判断せざるをえず、これはあまりにも単純化しすぎた方法です。前述されたように、パワーバランスは駆動条件・アクチュエーターの構造・ピエゾ材質に著しくよることがあります。単なる静電容量の値のみに捕われると、この複雑な考慮の欠落は不幸にもアクチュエーターと電源のミスマッチな選択に通じ、故障にもつながります。

 ピエゾアクチュエーターのアプリケーションとモデルの選択等に関しては、経験豊富な我々の技術者に連絡下さい。適切なアドバイスが出来るかと思います。

□ 開ループ感度

 パラメーターで Open loop Sensitivity (開ループ感度) は、ナノメートル、サブナノメートルといった非常に精密な位置決めをする場合に重要です。

 前述のようにピエゾを使ったシステムの位置決め精度は、セラミックスタックによる制限では無く、むしろ電源や付属するメカニズムに依存するものです。

 開ループ感度は、駆動電源の出力信号に乗ってくる、ノイズレベルに起因するアクチュエーターの位置決め精度における理論上の限界と定義されています。 ピエゾメカニック社で用意されたデータは、高精度アンプ SVR に基づいて測った値です。開ループ感度は、他の電源/アンプと共に使うと変わります。

 ピエゾシステムにおいて位置決め精度論議する場合、多くの場合アクチュエーター精度以外のその他の影響、温度変化による付属メカニズムのドリフト、押荷重の変化、振動、ベアリングの摩擦など、が精度を決定する要因となります。

□ 発熱の振る舞い
 高温環境下におけるピエゾアクチェーターの安定性は、ピエゾセラミック素材の温度特性のみで決まらず、絶縁コーティング材料、電極材料、接着剤等の構成材料にも大きく依存します。多くの場合、セラミックのキュリー温度による制約よりも、他の制限要素が問題になります。産業分野での応用の重要なファクターは、アクチュエーターが広い温度変化に耐えることだけではなく、特性の変化が小さいことです。このアプリケーションに有利なアクチュエータは 高電圧アクチュエータHS シリーズです。
□ 熱膨張(Thermal expansion)
 低電圧アクチュエーターは、わずかな負の軸方向熱膨張係数 -3ppm/K を持っています。(端子間短絡にて測定) また個別素子を積み重ねた高電圧アクチュエーターは、セラミック / 金属 / 接着剤 構造のためより高い値を示します。電極と接着剤のプラス方向の温度係数は、アクチュエーター全体の温度係数を わずかにプラス(約+1ppm/K)にします。

 ケーシングがあるアクチュエーターでは、金属製のエンドピースがアクチュエーターそのものよりも熱膨張に影響します。インバー合金等の熱膨張係数の小さな材料を使用することで、この効果を最小にすることができます。

□ 自己発熱
 ピエゾアクチュエーターは、ダイナミック動作では駆動電源の周波数・振幅に比例し発熱が大きくなります。自己発熱による温度上昇は、標準アクチュエーターに見られるような構造では、セラミックスタックが外部に対し唯一の機械的な接触点であるエンドピースを通して放熱し、アクチュエーター内部温度はいっそう高められます。ケーシングをしたピエゾアクチュエーターの放熱は、PZT セラミックとケースととの間に出来るエアーギャップのため、きわめて悪いものとなります。

 結果的にオーバーヒートを防止すのため、ピエゾアクチュエーターの運転には厳しい頻度制限が付きます。標準の低電圧アクチュエーターで、中間径のアクチュエーターを200Hz /フルストロークで運転するとオーバーヒートを起こす傾向があります。

 ピエゾアクチュエーターを、高い周波数 / 大きな振幅でダイナミックな、しかも長時間運転する場合は、連続したピエゾスタックからの放熱管理が必要です。この解決には、ピエゾメカニック社が提供するユニークな "ThermoStable" (オプション)が有効です。

"ThermoStable"
"ThermoStable" (オプション)は、ピエゾメカニック社が提供する標準のアクチュエータに放熱の良い加工を施した製品です。

(右)ケーシングに銅を使った例
(左)強制冷却用フィンを取り付けた例
いずれもダイナミック動作のためデバイスの放熱を改善した例です。

 右の写真は、従来通りの取り付け方法で取り付けたピエゾスタック PSt 1000/16/40 を 1000V/150Hz で駆動し、熱平衡状態に達したときの IR サーモグラフです。上下両端のエンドピースでの熱平衡時、スタック中央での温度約 100℃ 、エンドピース方向に徐々に温度が下がり、エンドピースでの温度約 30℃が観測されました。

□ 低温度特性
 PZTセラミックの圧電特性・電気特性は温度に依存します。ピエゾアクチュエータを液体窒素温度 77K あるいはそれ以下に冷すと、どんなPZTセラミック材料でも圧電特性が低下し、非常に硬い物質的のように反応します。
  • 静電容量の大幅な減少
  • 損失の改善、ヒステリシスの減少
  • ピエゾ効果 d33 の減少
  • 保磁力の増強
 極低温下では、ピエゾスタックは消極等負の特性に対して改善が見られ非常に安定になります。それゆえ、室温に比べはるかに広い電圧振幅 (バイポーラ駆動)が可能で、その結果低温でのストロークの減少を部分的に補うことができます。

 以下に標準の PZT PSt150 アクチュエータを、室温・極低温下で使った場合の主な特性の比較を表します。

Standard PSt 150capacitancestroke for 0V/ (+)150Vmax. operating voltage
roomtemp.100%100%(-) 30 V / (+) 150 V
77K15%20%(-) 150 V / (+) 150 V
4K5%6%(-) 300 V / (+) 300 V